しかし,なんといっても,数多くの言語に移植された"Tk"の元祖である.わずか数行のスクリプトで,unix, Windows, Macのいずれでも作動するGUIが実現できることは,1990年代前半には衝撃的であった.Smalltalkやjavaと違い,Tcl/TkはOSにさらりと溶け込んだ---ファイルシステムはもちろんシリアルポートにさえアクセスでき,なにより無料であった.
java, flashというトレンドにあって,Tcl/Tkにスポットライトがあたることは二度とないだろう.しかし,秀逸なデモサンプルとオンラインマニュアルにより独習が可能で,画像も音も容易に扱え,拡張も簡単といった隠れた特長により,「貧者のマルチプラットフォーム-メディアアプリケーション言語(長い)」としてひっそりと生き残っていくのではないだろうか.